在外研究記Oct. 2009

在外研究(アメリカ合衆国)

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10/1(木)

昨日の寒さの影響で,山の上が一気に雪に変わった.もう,秋というよりも,冬が近づいている気がする.

今日のCAGDの後半は,あまり得意ではない領域だったので,いくつかの質問をした.学生も,結構ついてくるのが大変だったのではないかと思う.しっかり復習する必要がありそう.研究しながら,勉強するのは大変.

夜は,日本の学生達とskypeでミーティング.特に,院生の研究に進展が見られた.学部生は,もうちょっと力を入れて欲しいところ.

ブラウザはGoogle Chromeを使っているのだけれども, Safariを使うを見てみたら便利そう.体感速度は,Chromeのほうが速く感じるけれども,使い勝手はよさそう.しばらく使ってみる予定.

10/5(月)

週末に,ネットワークの接続できなくなり,comcastへ電話する.電源を10秒切ってから試してみてくれと言われたのだけれど,直らず.月曜に来てもらうことに.ところが,電源を1分くらい切ってみたら,正常に動作した.翌日の朝までちゃんと動作することを確認してから,キャンセルの電話をいれた.問題が生じた際には,週末以外は,すぐ来てくれるよう.結構,サービスはよいのかもしれない.

昨日(日曜)の飛行機で,国際会議へ参加するためにサンフランシスコへ.ソルトレークの空港では,プログラムのバグを一つとり,機内では休む予定の分のCAGDの授業の資料を読む.夜は,receptionに参加.以前,会ったことのある研究者と再開し,ノートを開いて熱く研究の話に...

月曜は,朝6時に起床.発表練習を軽く一回する.15分半くらいなので,OKと思って,プログラムを見たら発表時間は20分だった.とりあえず,スライドを3枚加えて,まっいいかと...朝一のセッションから参加し,午前中に発表を終了.結構,多くの人が聞いてくれたので,そこそこ研究を宣伝できたのではないかと思う.(現地の方を除くと)日本からの参加者は僕と共同研究者だけだったようなのだけれど,何人かの知り合いに会うことができた.あるドイツの方は,ここ3年,毎年会っている.一昨年は,アメリカ,去年はノルウェー,そして今年はサンフランシスコ.どうも,会議の参加パターンが似ている.

休憩中に,Cohen先生と話すことができた.僕の恩師の先生とは知り合いのなので,飛び上がってびっくりされていた.まだ成田ではなくって,羽田空港の時代に,日本に来られた時のことを懐かしそうに話されていた.

こちらで会った人に,Brigham Youngにいるということを伝えると,みんなSederberg先生がvery goodという.まぁ,そのすごさは知っていたつもりだけれども,あらためて多くの研究者から尊敬されている先生だと再認識.この恵まれた機会を有益なものにしなければいけない.

その後,夜の7時すぎまで,会議に参加.朝8時からなので,結構ハードだ.

10/6(火)

休憩時間にある企業の方と話して,研究に興味を持ってもらったよう.今度,論文を送ることに.また,いろいろな先生とお話をする.

今日もっとも印象的だったのは,Robust Geometric Computationに関するセッション.昔の自分の研究と近いので,スムーズに理解できた.そして,比較的最近の新しい進展(homotopy condition)が非常に興味深かった.うーん,賢いと思った.将来,また手を出してみても面白いかなと思う.結構,人が入っていて,興味を持っている人が多いように感じた.

10/7(水)

Utah大学のRiesenfeld先生とCohen先生が,Pierre Bezier Awardを受賞.最初に,Riesenfeld先生がBezier先生の人柄などを紹介し,その後にCohen先生の講演.Riesenfeld先生のお子さんが生まれたときの手紙に,Bezier先生がお二人の”cross product”にお祝い致しますという趣旨のことを書いたそう.うーん,さすが.また,Bezier先生は,数学者的というよりも,デザイナであり,仕事場にNCを置いていたそうで,実用性を重視していた方だというのも印象的だった.

僕の恩師の先生がRiesenfeld先生の知り合いということもあり,恩師の先生からのメッセージをRiesenfeld先生に伝える.ちょっと緊張.でも,とても人柄の温厚な方.

10/8(木)

午後の便で,San FranciscoからSalt Lakeへ戻る.飛行機が2時間くらい遅れる.

10/12(月)

週末に行ったGoblin ValleyのCGのシミュレーションができないかなと思っていたら,すでにBYUでGoblin ValleyのCGシミュレーションをしている方がいた.自分の住んでいる自然環境をCGで再現するというのは,とてもいいと思う.たいてい,毎朝,となりの部屋のBrianとたわいもないことを話すのだけれども,こういう興味深い情報もいろいろ教えてくれる.他に話す人が少ないので,とてもありがたい.

午後に,今まで行ってきた研究に関して,共同研究者の先生とSederberg先生とミーティング.いろいろ有益な情報が得られた.

10/13(火)

義母と共同研究者が,日本へ帰国.ところが,San Franciscoへの便が遅れていて,日本への便が間に合わないというので,UnitedからDeltaの便に変更してもらう.ところが,Deltaの便の出発前に,Deltaも遅れそうとの電話がある.結局,San Franciscoで一泊したよう.

夜は,日本の学生とミーティング.各自の進捗状況や今後の方向性を確認.

10/14(木)

新しいアイディアでプログラムを組んでみたのだけど,うまくいかず.研究は,どうしたらよいのか分からないものをやるんだ,と学生によく言っているけれども,あらためて実感.でも,なんとか解決したい.本質的な問題なのか,バグなのかの見極めがついていないところがやっかい.

夕方,ケーブルテレビのセッティングにcomcastの人が来る.信号レベルが最初弱かったので,ちゃんと見れるか心配だったのだけど,なんとか見れるようになった.最初,アパート内でのsplitterの場所を探していたのだけれど見つからず.そこで,アパートの外で,splitterをバイパスしたらよくなったそうだ.でも,これって,他の人に問題が生じてないのだろうか.ちょっと心配だが,問題が生じたらcomcastに電話をするとにする.これで,ケーブルテレビが見れるようになった.

10/15(金)

Sedeberg先生とミーティング.ちょっとやっかいな方法を試してみることになったのだけれども,その方法とほとんど等価にも関わらず驚くほど単純な手法を考えて頂いた.2,3日はかかるかと思っていたものが,即実装できてしまった.

10/19(月)

朝,保健所(?)で,H1N1(いわゆる豚インフルエンザ)のワクチンを打つ.鼻にうつmistなので痛くない.小さい子供は,注射のよう.子供は,4週間後にもう一度打つ必要があるよう.

最近,日本のニュースで,H1N1の接種が,急に2回でなくて1回になりとまどっているという話があった.こちらの,ニュースで,接種が1回でよいという研究結果がでてからアメリカの対応は日本より速かったような気がする.ちなみに,外国人の我々にも無料で接種してくれる.日本とアメリカでは,それぞれ長所と短所があるように思うけれども,こういう点に関してはアメリカは手厚い気がする.

こちらの来て,Deseret IndustriesとかDeseret Booksなど,Deseretという用語をよく目にする.そこで,聞いてみたところ,DeseretはBook of Mormonの用語で,honeybee(hard work)を意味するそう.開拓者がUtahの地に来て行ったhard workを思い起こさせ,今の時代の人も頑張ろうというということらしい.なるほどー.

夜は,日本の学生と勉強会.少し議論になったのは,自分の好きな研究をするか,世の中で望まれている研究をするかということ.世の中で望まれている研究をしても,自分でおもしろいと思わなければ,ストレスがたまり研究の進み具合も遅くなるだろう.一方,自分の好きな研究をして,世の中で望まれていないものだと,こんなに努力をしているのに世間は認めてくれないという不満がたまってしまうだろう.大切なことは,どちらのスタンスからスタートしてもよいのだけれど,他方へ摺り寄せていく努力をすることではないだろうか.

10/20(火)

久しぶりに,CAGDのクラスに参加.いつもながら,なるほどー,こういうふうに教えるとよいのかということが実に多い.

今週は,home coming week.お昼には,学生向けに無料でハンバーガーを配っていて長い行列ができていた.BYUには,honor student(要するに成績優秀者)という制度があって,honor studentは,学内の催しのチケットを格安の$2程度で購入できるらしい.おもしろい制度だと思う.あと,こちらの食堂などで働いているのは,ほとんどBYUの学生だと思う.少し前に,アイスクリームを買ったときの店員さんは,(確か)エクアドル出身だった.Japanese foodで,鶏肉丼を頼んだときには,日本人はお米を毎日食べているんでしょという会話があった.学生が,大学の運営の一員となり,うまく運営されているように感じる.

夜は,日本の学生たちと研究打ち合わせ.

こちらへ来て,図書館で,本を借りたいと思いWebで図書の検索をしたら,僕の見たかった本は,onlineで提供されていた.今の学生たちも,onlineで読んでいるのだろうか.そういえば,うちの学部も学術雑誌でonlineで読めるものは,onlineで読む方向に進めていると思う.でも,僕自身は,本で読むことになれていて,どうもonlineだと読みにくい気がしてしまうのは,年のせいだろうか.

最近,amazonが世界の3Gネットワークを利用して図書(今のところ英語の本だけだと思う)をダウンロード可能なkindleを発売している.これだと,USA Todayなどは月$10程度で読め,図書も本よりはずいぶん安いよう.ただ,使い勝手は悪いとの記事も.Appleが,iPhoneやiPod Touchで図書を提供しだすかもしれないとの情報もある(今でも,著者権フリーのものは提供していると思う).また,Appleが来年,新しいタッチデバイスを発売するとの情報もある.

アメリカでは,特に,amazonの出現により,ローカルな本屋さんがどこも不況になっているという話を聞く.本に慣れている身としては,寂しい限りだが,これからは本というものの読み方が変わってくるのだろうということを,あらためて実感する.そういえば,先日の国際会議でも,冊子のProceedingsは$120と高価だったのであきらめた.

10/21(水)

お昼に,ソースコードの行数を数えてみたら,約6400行.9/4と比べると約倍増.でも,実際には,試してみて消したコードなどもあるので,実際には,もっとたくさんの行数を試していると思う.コードの行数ではなくって,何をやるかが問題だけれども,行数の変化を見てみるのもちょっとおもしろい.

9/4の時点のコードと比べると,同じことをするのにおそらく数百倍以上速くなっていると思う.これは,9/4のコードがとりあえず試すことを重視していて,速度をあまり重視していなかったから.もっと早くできると思うのだけれども,今は,別の機能に集中.

10/23(金)

昨日の夕方くらに,ほぼやりたかったことのプログラムが完成.それから,午前3時すぎまでデバッグ.オフィスに,9時前に来て,ずっとデバッグ.気晴らしにお昼に床屋に行く.そして,今は,夕方.だいぶ,バグはとれたけれども,あと一つだけ問題が残っている.

プログラミングの時間よりも,デバッグの時間のほうが長いのは仕方がないか.さっきとれたバグは,実は,非常に単純なことだった.実は,難しい問題だと勘違いしていたことが,時間がかかってしまった問題.生じている現象を,じっくり観察して,なぜそうなるのかを考えてみたら,思い当たることがあり,それがバグの原因だった.いや,あたらためて「ものをきちんと見る」ということの大切さを認識.

なかなかとれないデバッグは非常にfrustratingだけけれども,それがとれたときは爽快.The Shawshank Redemptionという映画を思い出す.デバッグに限らず,人生にはfrustratingなことと爽快なことの両面があり,The Shawshank Redemptionは人生の縮図の一つかな.

昨日あまり寝ていなかったので,8時過ぎ子供といっしょに寝る.ところが,子供が泣いて10時頃に起きてしまう.寝付かないので,デバッグの再開.そして,ちゃんと動くようになる.ちょっとうれしい.その後も,目が冴えてしまい,なかなか眠れず.ますます寝不足ぎみ.

10/26(月)

研究が少し進展.Sedeberg先生に結果を見て頂き,データを送って頂いた先生に,結果をお送りする.

夜に,日本の学生とミーティング.話題になったことの一つは,発想するにはどうしたらよいかということ.僕の場合には,とことん考えて他に手段が思いつかなくなるまで考え続ける.あきらめて他のことをやる(あるいは,思いっきり遊ぶ).もう一度ふと考えてみたときに,思いつくというパターンが多いかも.発想の方法は,それぞれ個人個人のスタイルがあって,自分のスタイルを身につけることが大切ではないかな.

10/27(火)

CAGDの授業を終えて,建物の外に出てみると雪が降っていた(積もりはしていない).昨年もHaloweenの前に,初雪が降ったそうだ.

夜に学生と研究打合せ.Skypeの音声が悪かったのだけれども,いつも学生達の研究を聞くことはとても刺激的.

Nov.2009

10/5(月)
昨日(日曜)の飛行機で,国際会議へ参加するためにサンフランシスコへ.ソルトレークの空港では,プログラムのバグを一つとり,機内では休む予定の分のCAGDの授業の資料を読む.夜は,receptionに参加.以前,会ったことのある研究者と再開し,ノートを開いて熱く研究の話に...
月曜は,朝6時に起床.発表練習を軽く一回する.15分半くらいなので,OKと思って,プログラムを見たら発表時間は20分だった.とりあえず,スライドを3枚加えて,まっいいかと...朝一のセッションから参加し,午前中に発表を終了.結構,多くの人が聞いてくれたので,そこそこ研究を宣伝できたのではないかと思う.(現地の方を除くと)日本からの参加者は僕と共同研究者だけだったようなのだけれど,何人かの知り合いに会うことができた.あるドイツの方は,ここ3年,毎年会っている.一昨年は,アメリカ,去年はノルウェー,そして今年はサンフランシスコ.どうも,会議の参加パターンが似ている.
休憩中に,Cohen先生と話すことができた.僕の恩師の先生とは知り合いのなので,飛び上がってびっくりされていた.まだ成田ではなくって,羽田空港の時代に,日本に来られた時のことを懐かしそうに話されていた.
こちらで会った人に,Brigham Youngにいるということを伝えると,みんなSederberg先生がvery goodという.まぁ,そのすごさは知っていたつもりだけれども,あらためて多くの研究者から尊敬されている先生だと再認識.この恵まれた機会を有益なものにしなければいけない.
その後,夜の7時すぎまで,会議に参加.朝8時からなので,結構ハードだ.
10/6(火)
休憩時間にある企業の方と話して,研究に興味を持ってもらったよう.今度,論文を送ることに.また,いろいろな先生とお話をする.
今日もっとも印象的だったのは,Robust Geometric Computationに関するセッション.昔の自分の研究と近いので,スムーズに理解できた.そして,比較的最近の新しい進展(homotopy condition)が非常に興味深かった.うーん,賢いと思った.将来,また手を出してみても面白いかなと思う.結構,人が入っていて,興味を持っている人が多いように感じた.
10/7(水)
Utah大学のRiesenfeld先生とCohen先生が,Pierre Bezier Awardを受賞.最初に,Riesenfeld先生がBezier先生の人柄などを紹介し,その後にCohen先生の講演.Riesenfeld先生のお子さんが生まれたときの手紙に,Bezier先生がお二人の”cross product”にお祝い致しますという趣旨のことを書いたそう.うーん,さすが.また,Bezier先生は,数学者的というよりも,デザイナであり,仕事場にNCを置いていたそうで,実用性を重視していた方だというのも印象的だった.
僕の恩師の先生がRiesenfeld先生の知り合いということもあり,恩師の先生からのメッセージをRiesenfeld先生に伝える.ちょっと緊張.でも,とても人柄の温厚な方.
10/8(木)
午後の便で,San FranciscoからSalt Lakeへ戻る.飛行機が2時間くらい遅れる