在外研究記Apr.2010

在外研究(アメリカ合衆国)

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4/1(木)

朝,部屋を出たら,山が雪で白くなっていた.夜中に降ったのだろう.昼間も,いつもより少し寒く感じた.夜にまた,雪が降りだす.

アメリカに来て,はや8カ月.あっという間だ.残りの時間を有効に使わなくては.

4/5(月)

先週から,少し寒い日が続いている.寒い日があったり,暖かい日があったりしながら春が近づいてくるのだろう.日本では,桜の季節.桜が見れないのが,ちょっと寂しい.

研究のほうは,ここのところ,ずっと論文書きを行っている.夜,日本の学生と勉強会.

4/3(土)は,iPadの発売日.早速,Best Buyに行って触ってみる.MacOSやiPod Touchなどと同じように,言語環境を簡単に変えられて,日本語環境でも問題なく動作できた.大きくなったiPod Touchという印象.近くにいたお客さんは,カメラがないことを気にしていた.僕は,iPadから直接印刷できるのかが気になったのだけれども,どうもできなさそうとのこと.

4/4(日)は,Easter.実は,当日まで,知らなかった.Easterは十字架にかけられたキリストが三日目に生き返ったことを記念する日だそうだ.

4/9(木)

今日は,Demo Day. 修士の学生が,グループでクラスで作ったプロジェクトのデモを行う.デモの部屋に入ると,2枚の紙を渡される.1枚は投票用の紙,もう一枚は分からないので入り口で配っている人に聞いていみるとraffleとのこと.自分の名前を書いて箱に入れ,終了時に,箱から紙をランダムに引いて,自分の名前がでると景品がもらえる(Tシャツなどが配られていた).

デモは,6グループあって,各グループ8分の発表,2分の質疑.どれも,完成度が高いのと,よく学生が質問している.個人的には,PowerPointとGoogle Waveをリンクさせているの発表が,興味深かった.授業のあり方にも応用できるかもしれない.iPhoneやAndroid上のアプリを作っている発表が2~3件あった.また,デモにはスポンサーがついていて,1位と2位のグループには,賞金の小切手が渡されていた.

4/13(火)

朝,外に出てみると,山に雪が積もっていた.今日は,Winter semesterの最終日.来週の期末試験が終わると,また人が少なくなるそうだ.

今日は,Unforum(Forumではないという意味のun)に参加.学生のための,コメディやパフォーマンスショーといったところ.また,この1年間,スポーツなどで活躍した人たちの紹介もされていた.

途中,president of BYUがでてきたのだけれども,結構おもしろいことを言っているので,本物ではないと思っていたのだけれども,実は,本物だった.Unforumの行われたバスケットボール場には,ベビーカーで子供を連れてきている人のために,ベビーカーを置いて子供といっしょに観ることのできるスペースがあった.こちらの大学ならではだろう.

英語の詳細は分からなかったのだけれども,概要はつかめたと思う.かなりおもしろかった.

研究のほうは,先週,Sederberg先生からとてもよいアドバイスを頂いたのだけれども,なかなか思ったような解決方法が浮かばない.いろいろなことをやって試してみている.

4/15(木)

夜に学生たちと勉強会.本多勝一著「日本語の作文技術」という本を読んでいる.日本語を分かりやすくあいまいなくするために,非常にシンプルな規則を示している点がおもしろい.もし国語の授業で,こういうことも教えてくれていたら,もう少し国語をおもしろいと思ったかもしれない.学生たちも,大変新鮮に感じているよう.

4/16(金)

東京は,この時期には珍しく夜中に雪が降ったようだけれども,こちらは結構暖かい.長袖だけで十分な感じ.

昨日から,自分の携帯に,銀行のクレジット関係の確認の間違い電話が自動で数回かかってきた.さすがに,毎日2回くらいかってきて困るので,もしレイチェルさん(たぶん前の携帯の利用者)がいたら,この番号にかけてくださいという番号に電話をかける.しかし,クレジット関係の電話のため,最初にクレジットの下4桁を入れてくれと言われ,ほうっておいたら,Social Security Numberを入れろと言われるが,さらにほうっておく.ここで,あきらめて電話を切ってしまう人もいるのではないかと思う.我慢強く待っていたら,オペレータにつながり事情を話して電話番号を削除してもらう.しかし,家族が帰国してから,かかってくる電話のほとんどは,間違い電話なので,間違い電話にはだいぶなれた.

研究のほうは,何か新しいことが出そうな気がするのだけれども,もしかしたら出そうもないかもしれない微妙な状態.でも,いろいろなことを試してみて,そして考えている.ただアウトプットを出すのではなく,価値のある成果を出すことを一番学んでいるのかもしれない.

自分のホームページの右下のFavorite Quotesに,たまたま,

“If it wasn’t hard, everyone would do it. It’s the hard that makes it great.”

というTom Hanks扮するJimmy Dugan監督の言葉がでてきた(何がでてくるのかは,ランダムである).自分で選んだ言葉だけれども,あらためて励まされる.

4/19(月)

こちらでは,桜は見れないと思っていたのだけれど,こちらでも結構いろいろなところにあった.Orem墓地のあたりやAmerican ForkのKHOLS(だったかな)のあたりなどなど,桜がきれいに咲いていた.今年は,桜は見れないとおもっていたので,うれしかった.でも,うちの大学は,本当に桜がいっぱいで,入学式の時期はとてもきれいだ.

4/20(水)

夜に,日本の学生と研究打合せ.

4/22(木)

朝,外に出ると,山に雪がうっすらと積もっていた(午後にはだいぶとけていたが).

今日は,大学のcommencementで,ガウンを来てと帽子をかぶった人が多くいた.こちらでは,BYUに限らないと思うけれども,卒業式などに親が出席するというのが多いと思う.かと言って,学生が独立していないかというとそうではないと思う.

夜に,日本の学生達と勉強会.

4/23(金)

なかなか思ったように成果がでず,在外研究の期限もあと3,4ヶ月となり,焦りを感じてきている.小さな成果の出し方はそれなりに知っている気がするし,せっかくSederberg先生というすばらしい方のもとにいるので,一か八かであったしても,できるかどうかわからないことにチャレンジする機会として利用したい.

家族と離れている寂しさや,成果が思ったように出ないことなどなど,いろいろ落ち込むことが多い.でも,よく自分のことを見直してみると,自分に対して暖かく接してくれている人たちが実に多いことに気づく.僕を長期海外派遣研究に選んで頂いた学部や学科の先生方,いろいろな暖かいお誘いをして頂く国内外の学会関連の先生方,食事やいろいろなイベントに誘ってくれるこちらの友人達,そして研究面だけでなく人間としても尊敬できるSederberg先生.こう考えてみると,落ち込むということは,何を感謝すべきなのかを自分に教えてくれる貴重な機会なのかもしれない.

いろいろな方々に恵まれていることに感謝しつつも,ここで終わってはいけない.残された期間,精一杯頑張るのみである.

以下は,youtubeのビデオ

・プロボ(BYUのある町)の様子

httpv://www.youtube.com/watch?v=tvEuNbH1tag

・BYUのキャンパス

httpv://www.youtube.com/watch?v=uts4Ab62mog&feature=related

・Provo Canyon

httpv://www.youtube.com/watch?v=h6mlkj4y7s8

4/26(月)

先週,プログラミングを頑張って,少し研究のほうがうまくいくかもしれない兆しが見えてきている.でも,まだ兆しだけで,これを光にするかどうかはこれからの努力と展開にかかっている.

アメリカでは,建物には一般に人の名前がついている.僕のいるComputer Scienceのビルは,James E. Talmageという人の名前がついている.そこで,調べてみると,LDS churchの12 apostlesの一人であったこと以外にも,興味深い情報を得ることができた.Talmageさんは,BYUの教員をしていただけでなく,University of Utahの学長もしていた方だそうだ.そして,University of Utahが,以前は,University of Deseretという名前だったことを知った.deseretというのはモルモンの聖書に出てくる用語で,honey bee転じてhard workを意味する.なるほどー.

4/27(火)

夜に,日本の学生と打合せ.

4/28(水)

日本は,ゴールデンウィークが始まっているけれども,こちらにはゴールデンウィークはない.そういえば,8月に来たので,お盆休みもなかった.

午前中に,昨年国際会議であった知り合いを訪ねにUniversity of Utahに行く.BYUも十分広いと思っていたけれども,Utah大はもっと広く,shuttleバスが走っている(Cornell大は,確か湖があった気がする).恩師の山口富士夫先生が,40年近くも前に,ここで過ごされたのかと思うとちょっと感慨深い.そのころと比べると,ずいぶん変わっているのだろう.

Computer GraphicsやImagingの建物は,Warnock Engineering Building.CGを勉強したことがあるならば,WarnockのアルゴリズムのWarnock氏(かつAdobeの設立者の一人).山口先生の退職記念パーティで,Riesenfeld先生にビデオメッセージを送って頂き,「来年,John Warnockビルができるから,そこに移ります」とおっしゃられていたのを思いだす.建物内では,Catmull-Clark細分割で有名なCatmull氏も中に紹介されていた(Catmull氏は,Pixarの設立者の一人).大学の建物というよりは,excellent companyの研究所といった感じの雰囲気.CG関連ではSCI(Scientific Computing and Imaging)  instituteが大きな勢力なようで,一昨年のBest paper awardsがずらっと並んでいた.

Utah大へ行く途中I-15(freeway)で左前方の車がコントロールを失い,僕の車のほうに近づいてきて,あやうく大惨事かと思ったけれどもぶつからずにすんだ.いや,よかった.

May 2010